FAQ
なぜ秘密鍵を漏らしてはいけないの?
短い答え
秘密鍵は変更不可能なパスワードだからです。つまり秘密鍵を漏らしてしまった場合、あなたのアカウントは金輪際安全ではありえません。
少し長い答え
ここにも説明がある通りで、「秘密鍵を知っている」ことは「それに紐付く公開鍵の持ち主であることを証明しながら発言する能力を持つ」ことに他ならないからです。
少し付け加えると、公開鍵は秘密鍵から数学的操作によって容易に導出可能なことは抑えておいてもいいでしょう。これは秘密鍵「だけ」を漏らしてしまったのだとしても公開鍵とセットで漏らしてしまったのとまったく同様に危険であることと、公開鍵の同一性を保ったまま秘密鍵だけを変更することが不可能であることを示します。
投稿が消せないって本当?
短い答え
実際のところ意外と消えますが、消えないものだと思っておいた方が安心できます。必ずしも完全には消えない事情があります。
少し長い答え
通常、あなたの投稿はあなたが属しているすべてのリレーに送信され、そこに保存されます。同じように、あなたが投稿の削除を要求するとき、要求はあなたが属しているすべてのリレーに送信され、そこで受理されます。これが投稿削除の仕組みです。
しかしこの仕組みでは完全な削除には至らないケースがあります。例えば:
- 投稿した時点と削除を要求した時点とで、あなたが所属しているリレーが異なる
- 誰かがあなたの投稿をあなたの知らないリレーにブロードキャストした
- 誰かがあなたの投稿をある種の方法でリポストした
- あなたの投稿を参照する形ではなくコピーする形でリポストするクライアントもあり、その場合はあなたの投稿が消えたとしてもリポストは残ります
- 誰かがあなたの投稿の生データ (Event JSON) を保存した
- 投稿の生データはあなたがそのような投稿をしたという 偽造不可能な 証拠になります
などが想定されうる理由です。
投稿が残らないって本当?
短い答え
永久には残りません。また、どの程度の期間残るのかも決まってはいません。
少し長い答え
あなたの投稿が実際に保存されている場所はリレーですが、リレーの管理者にはあなたの投稿を永続的に保管する義務はありません。仮にリレーの管理者が保管のための努力を惜しまなかったとしても、すべての投稿を保存し続けるのはディスク容量等の制約から考えて難しいでしょう。
この話は投稿に限りません。Nostr 上でのあなたのあらゆる SNS 的活動 (プロフィール設定、フォロー、いいね……) はイベントと呼ばれる形のデータでリレーが保存しますが、まったく同じように永続性は保証されません。
もしあなたが自分の活動の永続的な保管を望むなら、自分のイベントをダウンロードして手元で保管することができます。
何文字まで投稿できる?
原則として制限はありませんが、クライアントやリレーによっては上限を設けていることがあります。いずれにせよ常識的な長さの投稿を心がけましょう。
〇〇(SNS にありがちな機能)はある?
短い答え
クライアントによります。
本ページの NIP に関する説明 も読むと理解が深まるかもしれません。
少し長い答え
多くの機能はクライアント開発者の努力によって実現できることが多いです。しかし、Nostr の仕組み上どのクライアントであっても実現が難しい機能がいくつか存在します。例えば:
- (Twitter のような) ブロック。代わりにユーザミュートやキーワードミュートに対応するクライアントを使ってください
- (Twitter のような) 鍵付きアカウント。Nostr の上ではダイレクトメッセージを除くすべての発信が公開情報です。
逆に通常の SNS には珍しい機能を持ったクライアントも存在していますので、ぜひ探してみてください。以下はその一例です:
- ZAP (少額投げ銭)
- 絵文字リアクション
- カスタム絵文字
- パブリックチャットルーム
- バッジ
望む機能がどこにも見当たらない場合、あなた自身の手でクライアントを作ることもできます!Nostr には「運営」がいないので、クライアントを作るために会員登録も届け出も誰かの承認も必要ありません。誰でも自由にクライアントを開発して、公開できます。
ブロードキャストってなに?
短い答え
誰かが発信したある投稿 (厳密にはイベント) を、あなたが属しているリレーにそのまま再送信する行為のことです。
リレーを共有していないユーザ間の情報の伝達を目的とします。フォロー関係を共有していないユーザ間の情報の伝達を目的とするリポストとは明確に目的が異なります。
誰が何をブロードキャストしたかは誰にも公開されません。
少し長い答え
リレーって何?でも説明したように、ユーザ A の投稿 X をユーザ B が閲覧するためには A と B が少なくとも 1 つのリレーを共有している必要があります。しかし、ユーザ A, B がリレーを共有していなかったとしても、それぞれとリレーを共有している第三者 C が X をブロードキャストすることでユーザ B も X を閲覧することができるようになります。
NIP-36 ってなに?
センシティブな内容や何かのネタバレを投稿する際、その投稿の閲覧を望まないユーザがうっかり投稿を見てしまわないようにするための仕組み (コンテントワーニング) です。投稿者は投稿がなぜ「危険」なのかを説明する警告文を任意に添付でき、閲覧者は警告を読んでから閲覧を決定できます。
投稿者と閲覧者が両方とも NIP-36 に対応しているクライアントを使っている必要があるため、確実性には欠けることに注意してください。
不具合を見つけた。誰に報告すればいい?
短い答え
クライアントの開発者に報告してください。
少し長い答え
Nostr には「運営」はどこにもいません。近しい存在としては NIP を議論する人々、リレーの開発者、リレーの運用者、そしてクライアントの開発者がいるだけです。なんとなく空に向かって不具合について呟いてみても「運営」がそれを捕捉することはありません。
仮に不具合が見つかった場合、それはもしかしたらリレーの開発者によるバグかもしれませんが、おそらく大抵はクライアントのバグになるでしょう。どちらのバグか判断がつかなかったならば、とりあえずクライアントの開発者に報告することをおすすめします。
多くのクライアント開発者は趣味で開発しているので、迅速にあるいは確実に対応されるとは限らないことを心に留めておきましょう。
スパムを見つけた。どう対処すればいい?
短い答え
ミュートしてください。通報機能 (NIP-56) に対応しているクライアントを使っているならば、ついでに通報もするとよいでしょう。
リレーによってはスパムが多いこともあるので、リレー設定を見直してみるのもひとつの手です。
少し長い答え
本ページの色々なところで何度か繰り返しているように、Nostr に「運営」はいません。つまり、スパムの取り締まり (モデレーション) は期待できません。まして、仕組み上スパムアカウントが「凍結」することはありえません。したがって、基本的には自衛以外の手段はありません。
いくつかのリレー運用者はスパムらしき投稿を遮断する対策を行っていることがあります。そのようなリレーを選定することも対策のひとつではありますが、一般論としてスパム対策はイタチごっこですのでリレー運用者の恒久的なメンテナンスに期待しすぎない方がよいでしょう。
NIP ってなに?
短い答え
Nostr の仕様書のことです。通常、開発者でなければ NIP を意識する必要はありません。
少し長い答え
NIP は Nostr Implementation Possibilities の略で、Nostr のリレーやクライアントが備える ことができる 仕様をまとめたものです。仕様ごとに番号が振られており、例えば NIP-09 は投稿の削除に関する仕様を、NIP-25 はリアクション (いいね) の仕様を定めています。クライアントごとにどの NIP 番号の機能をサポートしているかは異なります。
開発者でなければ NIP を意識する必要は普通ありません。しかし、リレーやクライアントの機能は慣例として NIP 番号で指し示されることがあり、どの番号が何のことを指し示しているのかは知っておいてもいいかもしれません。よく言及されるものだけ次に示します:
- NIP-05: 認証マークに関する仕様
- NIP-07: クライアントへの安全なログインのための仕様
- NIP-36: コンテントワーニングに関する仕様
- NIP-56: スパム通報に関する仕様
NIP の策定は GitHub 上でオープンに議論されており、誰でも (あなたも!) 議論に参加できます。
Kind ってなに?
短い答え
Nostr 上でやり取りされる情報の種類のことです。通常、開発者でなければ Kind について意識する必要はありません。
少し長い答え
Nostr でやりとりされる情報は基本的に「◯◯ という公開鍵の持ち主が、△△ を ×× した」という形式をしています。例えば「npub123...
という公開鍵の持ち主が、"おはよう"を投稿した」といった具合です。この「×× した」部分を指定するための番号を Kind と呼びます。
例えば以下のような kind がよく用いられます。
- kind0: (プロフィールを)更新する
- kind1: (文章を)投稿する
- kind3: (フォローリストを)更新する
- kind7: (投稿に)リアクションする
ここでは直観的な説明のためにあたかも各 Kind が動詞であるかのように書きましたが、実際には「△△」に入るデータの種類を示す名詞としてのニュアンスを持ちます。完全なリストはこちらの公式ページで見ることができますが、実際に名詞で説明されていることがわかるでしょう。